卒業しちゃっても。

マリア様がみてる 32 卒業前小景 (コバルト文庫)

マリア様がみてる 32 卒業前小景 (コバルト文庫)

良いですよ、お姉さま方、と。言っても良いのかな。でもまだ言いたくないやうな。そんな感じの、文字通り、卒業式直前のリリアンを彩る小さな、けれどもかけがえの無い出来事を集めた一冊。最初は短編連作なのかな、と思いながら拝読仕っておりましたですが、今野先生のおっさる通り、一冊通して一つの物語になっていたやうです。ただ、やっぱりおのれ!佐藤聖の出番は唐突でぷかぷか浮いてましたけれども(笑)。や、あの浮き加減が今の佐藤聖のスタンスを非常に表していて何だかやられたなあ、な感じだったりもする訳で。ともあれ、ひとつひとつ丁寧に拾い上げられた、明日卒業する三年生たちとその妹たち後輩たちが織り成す、二度とはない時間。どれもこれも愛惜しく切なかったです。てか、本当に卒業しちゃうんだなあ、祥子。祐巳ちゃんとのラストシーン辺りは丁度通勤電車の中、立ったまま読んでいたのですが、うっかりと泣き出しそうになって困りました(泣笑)。次の巻は年末までには出るのでせうか。そりとも釈迦みてが先で、年明けまで持ち越しなのでせうか。早く読みたいやうな、もっと待ちたいやうな……複雑な気分です。そりにしても、祐巳ちゃんも由乃んも、そして勿論、志摩子さんも、本当に大きくなったなあ……なんて。一人ひとりのエピソードを読み返しながら、またもやほろりほろりとくる秋の夜なのでした。てか、可南子ちゃん何処ー?(えー)