短いですよー。

ふと思いついて徒然に書いてみる。
いつもの己らしくないかもしれないし。
いつもの己らしいかもしれない、小話一つ。


例に拠って、似たやうなお仕事をお持ちの。
似たやうなお二人のお話なので。
お気が向かれた方のみ、続きから、どぞどぞ(平伏)。


てか。
ホワイト・ディのイブに何書いてんだ、己(其処?!)。












口にしてしまったら。
お仕舞いになっちゃいそうな言葉って、ある。
もう子どもじゃないから。
冗談に紛れて零すことは可能、でも。
時と場合を選ばなければいけない、そんな言葉。
だから、あたしは出来るだけ。
時と場合を、選ばないで。
それを口にすることに、している。








― Your words. ―











ほら、また。
一瞬、表情が消えて、それから、困ったように笑う。
やだなー、とかもう、とか呟きながら、目を逸らす。


「嘘じゃないよ、『ホントだよ?』」


あの子の当たり役であるキャラの口調をわざと、真似てみせたら。
もっと困ったように、笑顔が苦くなる。


「ゆかりさん、冗談ばっかり」
「まあねー」


逸らされた目を追いかけながら、ふふっ、と笑って見せる。
あの子の唇から、溜息が零れる。
しょうがないなあ、って言いたげな横顔が、少しだけ切なく歪む。


「でも、奈々ちゃんは冗談抜きであたしの事、『大好き』だよねー」
「……っ!」


背中にダイブしながら囁いた途端、頬に朱が走るのとこめかみが酷く震えるのとが同時に見える。


「また一緒にお仕事出来ると良いね」


にっこり笑って覗き込んだら、少し潤んだ、でも、強い眼差しが此方に向けられる。
何か言いたげな形に開いた唇が、少しだけ震えて、結局閉じられる。


「なーなちゃーん?」


気付かない振りで催促すると、閉じた口元が一度だけぎゅっと強く引き結ばれて。
それから。


「私もゆかりさん『大好き』ですし、また一緒にお仕事したいですよ?」


やけに明るい声と笑顔で、返された。
なに、それ、って。
自分で追い詰めておきながら、ちょっと、思った。




口にしてしまったら。
お仕舞いになっちゃいそうな言葉って、ある。
もう子どもじゃないから。
冗談に紛れて零すことは可能、でも。
時と場合を選ばなければいけない、そんな言葉。
だから、あたしは出来るだけ。
時と場合を、選ばないで。
それを口にすることに、している。
でも。


あの子が同じように口にすることは。
少しも望んでいなかった。


ずるいかな、って、ちょっとだけ、思った。






― 了 ―







取敢えず。
7並びとは無関係なんですよー、とか。
呟いて、脱兎(えー)。