2分割目ー。



続きです。
言うときますが、エrは無いです(何)。
寧ろ、お食事中の方は読まない方が吉です(何々)。
奈々ちゃん一体何処でそんな技身に付けてんだkげふがふっ。




― Your tenderness. 2 ―












Your tenderness. 2










すみませんすみません、と何故か謝り続けるあの子を取敢えずリビングのソファに座らせて、私は洗面へ。結構頭ぐらぐらしてきて目眩だか眠気だかわかんない状態がじわじわ迫ってきていたけれども、メイクしたままはちょっと辛いから、頑張ってしっかりと落とす。あーでも、やっぱり、ちょっと、苦しい、かも。
ずるずる落ちそうになる身体を洗面台で支えようとして、手が滑る。横っちょに置いてあった洗顔剤のボトルがあっという間に転落して、派手な音を立てた。


「――だ、大丈夫ですか?」


耳聡いなあ、なんて思いながら、ゆっくりと床に跪いてボトルを拾おうとしたら、くらり、視界が斜めに歪んだ。こんな状態はホントに久々で、まずい、マジでまずい。


「ゆかりさんー?」


心配げな声が近づいてくる。嗚呼、もう、どうしたら良いのか分からない。返事すら出来ないで床にへたり込む。


「あの、失礼しますよ?」


控え目な声と共に洗面のドアが開かれる。


「ちょ……! ゆかりさん?!」


慌てた声がもっと近くなって、訳が分からないまま、あちゃー、って思う。


「大丈夫ですか、気分悪いんですか?」


大き過ぎない、抑えた声が耳元に近づいて、私の胸が意味も無く騒ぐ。頭は相変らずぐるぐるで、何か応えようとしても声が出ない。


「顔色、良くないですよ」


言いながら、そっと肩に手が添えられる。ひんやりとしたそれが、何だか心地良いから。


「……気持ち、悪い」


素直に、言葉が零れ出た。


「気持ち悪いんですか、お水、飲みます?」
「や……飲んだらもっと」


視界は未だにぐるぐるしているけれども、気持ちは少し、落ち着いた。飲み過ぎもあるけど、食べ過ぎもあるかも。胸につかえたむかむかが、気分を倍増しで悪くしているのが分かる。


「……あの、ゆかりさん」


私を支えていたあの子が、なんとも言えない、みたいな顔をして僅かに視線を外す。



「気持ち悪いんなら、吐いちゃった方が、楽かもですよ?」
「……う?」


あー、と思う。打ち上げとか飲み会とか、そういう場面で他人事のように周りの酔っ払い同士が交わしていた会話とかが、甦る。そっか、私ってば今まさにその当事者的状態なのかと酷く冷静になる。


「でも、どやって?」
「……はい?」


確かに胸はむかむかしてる。でも、目眩酷い時とかに勝手に催す気分とは種類が違うから、上手くいくかどうか分からない。


「あーえーとですから、あの、指をですね」


あの子の視線が更に更に逸らされる。既に見慣れた困った時の表情が、やっぱり年下だなあって思えたりする。


「指? どうすんの?」
「だから、指をですね、こう、咽喉の奥に」


う。
想像するだけでもちょっと気持ち悪い。


「ゆ、ゆかりさん、大丈夫ですかっ?!」
「だ、大丈夫」
「あの、お手洗い何処ですか、急いだ方が」
「あー」


情けないけれども、年下の彼女に付き添われる格好でお手洗いに向う。だからって、如何にか出来るもんでもないって気が段々としてきた。


「あの、私、外で待ってますから」


言ってそそくさと外へ出ようとしたあの子の、おうちに上がってからまだ脱いでも居なかったらしいジャケットの裾をもう一度、掴まえる。


「……ゆかりさん?」
「手伝って」
「………はいっ?!」


あ、声ひっくり返った。


「だってもう、ゆかり、何が何だか分からないんだもん。気分悪いし頭回るしーっ」


困ってる。分かってるけど、でも、何だか胸のもやもやが、視界のぐるぐるが収まらなくて。


「上手く出来そうにないから、手伝って」


逃がさない、そんな気持ちを込めてあの子の裾を更に、引き寄せた。