閉ざされた郷愁。

そんな感じで(何)。

BLUE DROP―吉富昭仁作品集 (電撃コミックス)

BLUE DROP―吉富昭仁作品集 (電撃コミックス)

大好きで日参しているBlogさま強烈プッシュされていたのでとても気になっていたのです。てーか、某漫画専門店で表紙を見かけた時から実は気に為っていたのでした。赤いタイにカラーの縁取りとプリーツスカートがブルーグレーといった、定番なセーラー服を着た青い瞳の少女が短銃に頬擦りしているその背景には、酷く有機的な廃墟とも付かない半島が海に突出していて、重力から解き放たれたごとききカーキ塗装の飛行物体がその傍を浮遊し、手前には短調な屋根瓦の鄙びた民家の群。裏表紙にも見返しにも口絵にも、細い描線で描かれた少女たちが淡い、けれどもシャープな色調に彩られて凛と存在しているのです。何なんでせうこの、未来の記憶に向けられるものにも似た郷愁をそそるタッチは。そんな感じで、一読。ぱらりぱらりとその絵の語るものに似つかわしく淡々と頁を捲る内にごく短い5つのお話は緩いループを描いて静かに一つの世界を描いて幕を閉じるのでした。つーか、やられました。この一冊で十分に満足出来る物語ではあるのですが、折角なのでやはりもっともっと色々と見せて頂きたい。そんな、名残惜しさすら覚える一冊でしたです。や、マジでやられましたー(笑)。