雲ひとつ無く晴れ渡る空一杯に。

届き、満ちる、祈りの声。
無数の折鶴に込められた、想い。
それは、苦かったり切なかったり悲しかったり。
幼かったり、稚かったり、純粋だったり。
それでも、多分、誰もが願った筈。
あの暑い日、空に現れたもう一つの太陽が。
人々の日常の上に再び、現れる事がないようにと。
遠い日の出来事をこのまま、ずっと。
遠い過去のものとしてだけ振り返る事が出来るようにと。


そうして、想像してみる。
あの日、あの場所に居たのは。
あの場所で日常を過ごしていた人たちだけではなく。
己自身の心の一部も既に其処に、在ったのだと。
今日、この日だけでも、想像してみる。


そんな、61年目、夏の日。