不意に胸を掴まれる。

それは、何気ない台詞一つ、場面一つに。

夏目友人帳 4 (花とゆめCOMICS)

夏目友人帳 4 (花とゆめCOMICS)

何だか発刊ペース上がってきたなあと思いましたらば、本誌にも度々登場しているのですね。己的お気に入りシリーズの最新刊、8月発売で御座いましたです。のっけのお話は掲載誌で既読だったのですが、アカン、分かってても二匹並んだ雪兎のシーン辺りからもう、目頭が……(涙目)。巻を重ねるごとに夏目と彼を取巻く人々(にゃんこ先生含む/人ちゃうけど/笑)との交流があたたかいものになってきて嬉しいけれども、温泉旅行の巻(何)で描かれていたやうに、大切な人たちに嘘をつくこと……と言ふか、本当の事を話さないでいることに慣れている自分に対する自覚が大きくなってきた夏目に少しく切なくなって参りました。だからこそ、名取さんみたいな存在は貴重で、でも、お互いに不安を抱えあう状態、探り合う状態が続くのですよね。つーか、諸々、己自身の過去について覚えのある感覚を呼び起こされまして(や、別に妖が見えたりしてた訳ぢゃないんですが/何)。感覚を呼び起こされると申せば、巻末の掌編三作の二作目、幼い頃の夏目が猫を抱き締めながら呟く「ひとりで生きていきたいなあ」のシーンには不意を突かれました。てーか、涙にじんで堪りませんでした……。自分ではどうすることもできない宿命を、人は多かれ少なかれ、誰もが抱えて生まれてくるもので。それらの多くは気の持ち様一つでどうにか出来たりするのですが、それを知るにはやっぱり色んな人たちに受け止めて貰う必要があって。幼い夏目があの一言を口にするだけの背景を思い、そしてそれを受け止めた妖の長すぎる年月を思うと、色んな想いが己自身の胸にも去来しましたです。てか、そんな情景をあんな風に描ける作者さまはやっぱり、凄いなあと。凄い漫画家さんやなあと。漫画って凄いなあと。つくづくと、圧倒される一巻で御座いましたです。本誌10月号ではドラマCDが付録で付いたりするそうですが(にゃんこ先生のキャスティングに吃驚、そして納得。詳細は後日/えー)、願わくば、メディアミックスの波に乗せるのはもう少しゆっくりでお願いしたいやうな。掌の中で大事に拝読仕る、その感覚を大切にしたくなる、己にとっては、そんな作品ですので……。