懐かしさと愛惜しさと。

何故か感じるこの二冊。

京都人だけが食べている (知恵の森文庫)

京都人だけが食べている (知恵の森文庫)

京味深々 京都人だけが食べている2 (知恵の森文庫)

京味深々 京都人だけが食べている2 (知恵の森文庫)

一冊目は先日、図書館で単行本版を借りて読んだばかりなのですが、ついつい書店で続編と共に文庫版にて購入。だだだだだって、詳細地図なんか付いてたんですもの……!(ヲイ)そりは兎も角、今現在己は二冊目を拝読中なのですが、例に拠って短気なものですから気に為る記事を拾い読み状態。にしんそばのお店の壷庭に思いを馳せ、イノダコーヒ(伸ばさないのが本来の表記だと初めて知りました)の珈琲でゆったりと過ごした後背筋を伸ばして表へ出て行く事を夢想し、「欧州ビーフカツ丼」の味わいを想像しつつも、「しかし想い出になってしまえば、相当ドラマティックなソープオペラであった事は事実だ」と言ふ入江氏の言葉に、どきりと胸を突かれたり。んでもって、まだ全編読み終えていないのに平松洋子さんの手になる解説を先読みして、深く深く頷いてみたり……。度々と訪れながら無論腰を据えて過ごした事のない「よそさん」でしかない己ですが、入江氏の目と心と舌を通じて描かれたかのまちを、懐かしく愛惜しく想う心の根っこにある何かしらの水脈のやうなものに、やうやく辿り着けたやうな気持ちに勝手ながらも気付かせて頂いた心地ぞ致しましたのです。ともあれ、いつかこの二冊を鞄にそっと忍ばせてかのまちを、隅から隅までさ迷い歩いてみたいものです。ええ、短くも美しい春や秋も勿論、熱さ(誤記に非ず/笑)寒さにも負けず夏や冬にも必ずきっと……。