和む……。

家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)

ぱらり表紙を捲って本文へと進む手前の、最初の一文を読んだ瞬間からするりと何処かへ持っていかれる心地に。ようやっと文庫落ちしたこの一冊を本日手に取ることが出来ましたです。文士綿貫征四郎が今は亡き学友の父上から託された家。そこで積み重ねられてゆく不思議で淡々とした日々。実はまだ最初の方までしか読み進めていないのですが、これまで己が拝読してきた梨木さんのお話よりも更にちょっと、異界への距離が縮んだやうな。でもそれが余りにも自然な距離感なので、つるっと入り込んでしまうやうな。そんな懐かしくもあやしい読み心地をまったりと楽しんでおりますです。何分不調法な己、草木の名が各章に現れるわけですがその姿がなかなか思い描けないのですが、偶に見知ったり親しんだりしている草花を巡るお話に当たると、更にほっこりと和んだり。いい時期にいい御本に出逢えましたです、はい。