ハチミツとクローバー 9 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 9 (クイーンズコミックス)

いつか終わる季節を、時代を、出逢いを。折に触れて匂わせ漂わせ予感させながら此処まで。そうして、その流れは突然でもなく、ある種の必然さえ伴って、彼ら彼女らをそれぞれの場所へと運ぼうとしている。決して、今居る場所から無理矢理にではなく。ああ、生きていく中でこんな風に(己自身も含めて)人は、何もかもを少しずつ、そして時には一気に選ばなくてはいけないのだと。自分の中に残る、何かを剥ぎ取られるやうな愛惜と共にじんわりと、或いはちくりと胸を滲ませ痛ませながら読み終えた最新刊でしたです。特に、「皆で海に行く」シーン、あのくだりを読んだ瞬間己は、声を上げて泣き出しそうな自分に気付いて酷くうろたえましたです。優しいのに、抉られました。本当に、あなたたちに出逢えて、良かった。今はその行く末を、ただそっと、未来からの幻のやうに見守りたいと、心から思いましたです。